前澤友作氏が去ってもZOZOは業績伸長 ヤフー傘下入りが要因か
前澤友作氏が去ってもZOZOは業績伸長 ヤフー傘下入りが要因か【プロはこう見る 経済ニュースの核心】「ロシア・ウクライナ戦争」のカギ握る 中国の微妙な立ち位置ZOZOの業績が好調だ。2022年3月期第2四半期連結累計期間における商品取扱高が2295億円(前年同期比23.6%増)、
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「ロシア・ウクライナ戦争」のカギ握る 中国の微妙な立ち位置
ZOZOの業績が好調だ。
2022年3月期第2四半期連結累計期間における商品取扱高が2295億円(前年同期比23.6%増)、売上高は762億円(同14.6%増)、営業利益は237億円(同19.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は165億円(同18.6%増)となっている。
既存商品に加え、ZOZOTOWNで靴カテゴリーの商品取扱高が拡大したほか、昨年3月のZOZOTOWNのリニューアルに際して、コスメカテゴリーを強化した「ZOZOCOSME」が大きく寄与した。
「ZOZOCOSME」は国内外の500以上のコスメブランドを取り扱い、女性アクティブ会員比率は7割を占める。
また、「PayPayモール」が売上高を底上げしている。
21年3月期下期に実施した大型施策「超PayPay祭」などで獲得した顧客の定着や、モールを運営するヤフーによる積極的な販売促進費用投下が売り上げを押し上げた。
「ZOZO創業者の前澤友作氏が19年9月に退任、ヤフー(Zホールディングス)傘下入りしたことで、それまで競合していたヤフーモールとZOZOTOWNの食い合いがなくなり、相乗効果が生まれている。
そこにコロナ禍に伴うデジタルシフトが重なり業績を押し上げている」(大手信用情報機関)とされる。
牽引したのは前澤氏の後継者、沢田宏太郎社長で、ZOZOを「ファッション業界のインフラ企業」へと変貌させつつある。
一方、社長を退任した前澤氏だが、「前澤氏は引き続きZOZOの13.3%の株式を保有する大株主で、年間配当は約22億8000万円に及ぶ」(大手証券幹部)という。
その前澤氏は、創業者利益である膨大な株式売却益をもとに、自身の目利きでベンチャー投資ファンド「前澤ファンド」を立ち上げ、これまでに16社へ投資している。
例えば、養育費の不払いがなくなる社会をつくるために、ひとり親世帯が受け取れていない養育費を、元パートナーに代わって支払う保証サービス「小さな一歩」や、政治家の活動をDXするSaaS「スマート選挙」を提供する「センキョ」など、ユニークな会社へ投資している。
来月5日には家庭型ロボットベンチャー「GROOVE X」の全株式を取得する予定だ。
前澤氏が去って、業績が伸長するZOZOのように前澤ファンドもうまくいけばいいのだが……。
(小林佳樹/金融ジャーナリスト)